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どうなる?トランプ大統領のイスラエル訪問-2017.5.18

トランプ大統領初の外遊、イスラエル訪問でトランプ政権の外交力が試される

theguardian.com」より

就任後初の外遊を現在行っているトランプ大統領ですが、来週22・23日とイスラエルならびに西岸地区を訪問する予定になっています。中東問題、特にパレスチナ問題については長女イヴァンカさんの夫であるクシュナー上級顧問に中東和平問題を担当させるなど積極的な意欲を見せる一方、クシュナー一家がユダヤ人である事から公平性を欠いた中東政策が進められていくのではという懸念が根強くあります。そんな政権にとって今回のイスラエル訪問は、中東における今後のトランプ外交を占う重要な2日間となります。現地イスラエルではここ1週間ほど大統領訪問に関する報道を多く目にするようになっていますが、久々の親イスラエル的な大統領ということで好意的な論調だったのですが、スケジュールや滞在内容が明らかになるにつれ失望感が広がってきています。

その理由はいくつかあるのですが、まず1つ目は様々な行事に見られる短縮化です。アメリカ大統領の訪問時にはベン・グリオン空港にて盛大な歓迎式典が行われるのが通例なのですが、トランプ大統領はスピーチなどを省略し、イスラエル側からはネタニヤフ首相夫妻・リブリン大統領夫妻の4人だけが参加するという短かく小規模な式典を要望、イスラエル側を大いに驚かせました。また、その日の午後にはホロコースト記念館「ヤッド・ヴァシェム」を訪問し見学・演説する予定になっていますが、ヤッド・ヴァシェムに充てられた時間はたったの15分。ネタニヤフ首相との関係が冷え切っていたオバマ前大統領も、ヤッド・ヴァシェムに1時間は滞在し博物館を見学していました。それを考えると15分はあまりに短すぎ、敬意に欠けているではないかという声が上がっています。

2013年3月ヤッド・ヴァシェムを見学するオバマ大統領。滞在時間15分では館内に入る事すら困難だろう

vosizneias.com」より


また訪問まで1週間を切った段階で、急なスケジュール変更がいくつか通達されました。もともとの予定によれば滞在2日目には死海近くにあるマサダという遺跡訪問が予定されていました。これは1世紀にユダヤ人がローマ帝国に対して反乱を起こした際、最後まで立て籠もり徹底抗戦し自決したユダヤ人にとっての最後の砦でした。約2000年たった現在イスラエル国防軍への正式な入隊・宣誓式をここマサダで行う部隊は多く、「マサダは二度と陥落しない」と兵士たちが誓い合うシオニズムの聖地でもあります。トランプ大統領はここマサダを訪れ演説をする予定だったのですが、アラブ諸国への配慮からか「猛暑が予想されるため」との理由でマサダ訪問を取りやめる事にしました。しかしイスラエル気象庁によると滞在予定日のマサダの最高気温は26度だそうで、5月のマサダにしては比較的快適な気温です。

そしてこれよりもイスラエル人を失望させたのが大統領による初の嘆きの壁訪問です。オバマ大統領を始め歴代の大統領は、就任前の議員時代や大統領候補としては嘆きの壁を訪問していたのですが、こちらもパレスチナ側の反発を抑えるため現職中の訪問は避けてきました。しかしホワイトハウスは現職の大統領として初めての嘆きの壁訪問を発表、イスラエルでは右派を中心に好意的に受け止められていました。しかし翌週に訪問を控えたところで、公式訪問ではなく私人としてのプライベートな訪問になるためイスラエル側からの参加者も認めないとの報道がされました。また今週月曜日、イスラエルに入っていたアメリカの外務省チームが前もって嘆きの壁を視察訪問した際、同行していたイスラエル側の首相官邸スタッフに「(嘆きの壁は)君たちの所有地ではなく、西岸地区である」と発言したことが発覚しました。話を伝え聞いたネタニヤフ首相はすぐに在米大使に連絡、ホワイトハウスに事実確認の要請をしましたが未だ正式な回答は得られていません。以上のような事もありイスラエルでの歓迎ムードも少しずつ雲行きが怪しくなってきました。

haaretz.co.il」より


ちょうどイスラエル訪問に関して現地で不満が表面化し始めた矢先、トランプ大統領がイスラム国に関する機密情報をラブロフ露外相らとの10日の会談で漏らしたとのニュースがありました。当初はホワイトハウスも確認を拒んだり明言をしていなかったのですが、トランプ氏は自身のツイッターで「私には情報共有に関する絶対的な権限がある」とロシア側に情報を伝えた事実をほぼ認めました。このトランプ氏が漏えいした情報は、イスラム国内に潜入しているイスラエルのスパイから得られたもので、ノートパソコンを用いたテロ攻撃が計画されているという内容。イスラエル側はアメリカに対し機密情報である事から慎重に扱うよう求めていたようですが、今回のような結果になってしまいました。あるEUの閣僚は「もしもトランプ氏が機密情報を許可なく漏えいしたのが事実であれば、我が国もアメリカとの諜報分野における協力関係を見直す」と発言。イスラエル側はまだ正式な声明を出してはいませんが、訪問を前にトランプ大統領に対する不満がさらに強まる結果となりました。

通例を覆すスケジュール、嘆きの壁、そして国家機密の漏えい。暗雲が漂い始めた来週のトランプ大統領訪問がいったいどうなるのか、注目です。

「バラガン」とはごちゃごちゃや散らかったという意味のイスラエルで最もポピュラーなスラングです。ここでは現地在住7年のシオンとの架け橋スタッフが、様々な分野での最新イスラエル・トピックをお届けします。



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