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SNS時代のハニートラップと闘うイスラエル―2018.7.8

ポスターやHPを使っての注意喚起

(ynet.co.ilidf.ilより)


現在Facebookやツイッター、InstagramなどのSNSによって人間関係が大きく変化しています。そして、この変化の波はハニートラップにも押し寄せているようです。

ある日、イスラエル軍に兵役中の青年Aさんのもとにリナ・クレーマーという女性からFacebookのメッセージが届きました。プロフィールはいたって普通のイスラエル人女性、そしてアルバム内には部屋着や水着の写真がちらほら・・・こうして青年期真っ只中、血気盛んな戦闘部隊兵に就いていたAさんとリナとのやり取りが始まりました。

「最初はFacebook内のやり取りだったのですが、その後さらに親密になりWhatsapp(携帯番号を用いたチャットアプリ)を使ってより個人的な話をするようになりました。Facebookと違いWhatsappでのチャットには携帯番号が必要で、彼女もイスラエルの番号を持っていたため全く怪しくありませんでした。そしていよいよ実際に会ってデートしたいと思い始めた頃、彼女は『Glance Love』というアプリをダウンロードするよう言ってきたのです。不審に思った私は親しい友人に相談し、悪意を持ったいたずら行動なのかも知れないという結論に達しました。こうして念のため、軍の情報セキュリティー部門の職員に問い合わせることにしたのです。」

こうして問い合わせを受けた情報セキュリティー部門が調査をした結果リナ・クレーマーという女性は架空の美女で、ハマスによるサイバーテロだという事が判明しました。以降数か月の間に同様のSNSハニートラップに遭った兵士は約数百人。そのなかの10%前後の兵士が実際に指定されたアプリをスマホにダウンロードし、その結果写真や連絡先に入っている携帯番号・メールアドレスなどの個人情報がハッキングされたようです。なかにはスマホのカメラを遠隔操作され、基地の様子が中継されたり兵士の位置情報が漏えいするなどというケースも報告されています。

ガザ国境部の基地の様子を探ったり、そこに配置された兵士の場所を特定するのがハマスの主な目的なため、ハニートラップの被害はガザ付近に配置されている兵士たちに集中しています。またアプリの種類も『Glance Love』などのマッチングアプリだけではなく、男性兵士をターゲットにしたフィットネスアプリや先月にはワールドカップ観戦アプリなどがハマスよって開発され、Google Playストアで公開されています。国防軍は現在、各兵士や一般市民に対しても注意喚起を行っています。


イスラエル国防軍のサイバー担当者(左)とハニートラップに遭った女性兵士(右)

ynet.co.ilより)


軍諜報部の司令官によると、昨年からハマスはSNSを利用したハニートラップ作戦を始めているようです。最初はチャットのやり取りを数か月間にわたって行い、すっかり気を許したところで個人情報を直接聞きだすという作戦が多かったのですが、今年に入ってからはアプリをダウンロードさせてのハッキングが本格化しました。イスラエル軍はこれを『ブロークン・ハート作戦』と名付け、現在諜報部を中心に対策を行っています。幸い今のところ、重要な機密事項がハマスの手に渡ったというような深刻な被害は出ていない模様です。

司令官は「今回の作戦ではハマスのエージェントがエリート部隊のハンサムな兵士に扮して女性兵士との接触にも試みているのも報告されており、これは今までにはなかった現象だ。よって男性兵士だけではなく女性兵士たちにも注意喚起を行っているが、ハッキングされているのに気付いていなかったり名乗りあげていない兵士もいるだろう。数万ドルほどの予算があれば東欧やアジアの有能なハッカーを雇用する事ができるため、今後もSNS内のハニートラップを用いたハマスのサイバーテロは続くだろう」と推測しています。

被害に遭いそうになった兵士たちの証言によると、ヘブライ語のスペルや言い回しの間違いが気になったものの「イスラエルに帰還したての移民」という理由に納得し、チャットでのやり取りを続けたようです。日本ならば「てにをは」などの日本語の間違いですぐに怪しいと気付くのでしょうが、世界各国からの移民を多数抱えるイスラエルでは彼らの証言通り「移民でヘブライ語が母語ではない」という言い訳に怪しむことはありません。そしてお喋り好きのイスラエルでも通話に代わって現在チャットが主要なコミュニケーションツールとなっているため、このようなハニートラップがしやすい状況になっているのだと思います。

SNSがこれだけ普及した現在、全く会ったこともない赤の他人と「ネット上の友人」になる人も増えています。そんな他人とつながる事への抵抗感がどんどんと薄れている時代背景、そして軍というストレスの溜まる場で青年期を過ごし、出会いと心の安らぎを求める若いイスラエル人兵士たち― 
それらを上手く利用したハマスによるハニートラップは、これからも続きそうです。


「バラガン」とはごちゃごちゃや散らかったという意味のイスラエルで最もポピュラーなスラングです。ここでは現地在住7年のシオンとの架け橋スタッフが、様々な分野での最新イスラエル・トピックをお届けします。



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