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イスラエルについて

イスラエルの文化

祭りと祭日

シャバット(安息日)

金曜の日没から土曜の日没までをシャバット(安息日)と言います。 聖書には、

「安息日を覚えて、これを聖とせよ。六日のあいだ働いてあなたのすべてのわざをせよ。 七日目はあなたの神、主の安息であるから、なんのわざもしてはならない。」(出エジプト記20章8節)

と書かれていて、 ユダヤ教では「シャバットを守るものは、トーラーのすべての掟を守ることに値する」と言われるくらい重要な日です。

ろうそくを2本灯して安息日を迎えます

この日、厳格なユダヤ教徒は機械の操作や火を扱うこと、また写真を撮ったり文字を書いたり車を運転することなど、 一切の仕事が禁止されます。
料理は金曜の夕方までに次の日の分も作っておき、 電気もスイッチを入れなくていいようにタイマーを使います。ユダヤ教徒のために、 エレベーターは各階停止の全自動運転になるホテルもあります。 ユダヤ教には様々な教派があり、それぞれ安息日に許される事柄の範囲が異なるのです。
金曜日の夕方、シナゴーグの礼拝に出席し、その後家庭ではワインとパンを使ってキドゥーシュという祈りが捧げられ 、家族そろって食事を囲んだり友人を招待したりして楽しく過ごします。 宗教的でない人にはこのような決まりはありませんが、シャバットは家族で過ごす人が多いです。
シャバットの日は公共の交通機関はストップし、商店、オフィス、公共施設は閉められます。

ロシュ・ハシャナ(ユダヤ新年)

ショファーを吹く男性

→ユダヤ新年についてはバラガン・コラムの記事でも詳しく紹介しています。

ユダヤの新年は、西暦の9月か10月に2日間祝われます。
家族や親戚が集まり新年を祝います。「1年が甘い年でありますように」との願いを込めて、 りんごやパンを蜂蜜に浸して食べたり、「実がいっぱいに詰まった年でありますように」とざくろを食べたりします。 また新年の食卓は魚料理を食べるのが慣わしです。
シナゴークでは、雄羊の角笛(ショファー)が吹き鳴らされます。 そこで、この祭は「ラッパの祭」とも言われます。そして、知人の間ではシャナトバー・カード(年賀状)を交換します。
初日の午後には、水のある場所に行ってポケットの塵を水に流す「タシリーク」という面白い風習があります。 これは、旧約聖書のミカ書にある、次のような言葉にちなんだもので、神に罪を「水に流して」いただくよう、お願いするものです。

「だれかあなたのように不義をゆるし、その嗣業の残れる者のために、とがを見過ごされる神があろうか。 神はいつくしみを喜ばれるので、その怒りをながく保たず、再びわれわれをあわれみ、われわれの不義を足で踏みつけられる。
あなたはわれわれのもろもろの罪を、海の深みに投げ入れ、昔からわれわれの先祖たちに誓われたように、 真実をヤコブに示し、いつくしみをアブラハムに示される。」 (ミカ書7章18節-20節)

ヨム・キプール(大贖罪日)

新年から最初の10日間は、畏れの日々(ヤミーム ノライーム)といいます。 この期間は一年を振り返り、神の前に悔い改めをするのですが、その最終日がヨム・キプールで、 ユダヤ教では最も厳粛な日と考えられています。
ユダヤの伝承によると、神は「命の書」をロシュ・ハシャナに開け、ヨム・キプールの日までかかって、 誰の名前を書き込むかをお決めになります。
名を書き込まれた人は新しい年を健康で過ごせますが、名を記されないと死や災難が待っているのです。
善人は名を書かれ、悪人は名を書いてもらえません。 問題は中間的な「普通の人」で、彼らはこの10日間の「悔い改めの度合い」で、名が書かれるかどうかが決まると言われます。 面白いことに、誰もが自分は「普通の人」と考えて、一生懸命に悔い改めるのです。
この日は日没から日没まで25時間の断食、絶飲絶食、化粧品や洗面も禁止となります。 人々は、革靴から布の靴に履き替えます。またシナゴークでは5回の礼拝が行われます。
ヨム・キプールの日はテレビやラジオをはじめ、交通機関、娯楽施設など、国内のほとんどの社会活動は休止します。 普段宗教を守らない人でも、この日はシナゴグに行ったり、断食をしたりして、家で静かに過ごします。 日没にショファーが吹き鳴らされる時、神の裁きが確定し、「命の書」は閉じられると言われます。

スコット(仮庵の祭)

エトログとルラヴなどを手にして祈る人々

大贖罪日(ヨム・キプール)の5日後から7日間、庭にスカーという仮小屋を建ててお祝いします。
スコットとはスカーの複数形で、これはユダヤの民がエジプトから脱出し、荒野を旅した時代に、 仮庵に住んだことを記憶する祭りです。
エトログ(かんきつ類の果実)、ルラヴ(シュロの葉)、ハダサ(ミルトスの花)、アラボット(柳の一種)が飾られ、 スカーの中で食事をしたり寝たりして楽しく過ごします。
この時期にイスラエルを訪問すると、様々な場所に仮小屋が建ち、まるでホームレスが多数出現したような状態になっていますが、これはとても楽しい祭です。
祭に使うものの中で特に重要なのは、エトログとルラヴで、完全に傷の無いものを入手するのが良いとされており、無傷のものには大変な高値がつきます。 露店で売られているエトログとルラヴを、ルーペを片手に正統派の人が品定めをするのが、この時期の風物詩です。
そして、この祭の8日目にはシムハット・トーラー(トーラー歓喜祭)を行い、1年の朗読のサイクルが終わったことを感謝します。 シムハット・トーラーは、ディアスポラ(イスラエル以外の土地)では9日目に祝われます。

ハヌカ(宮きよめの祭)

→ハヌカについてはバラガン・コラムの記事でも詳しく紹介しています。


ハヌカのろうそくと揚げたパンのスフガニヤ

ハヌカとは「奉献」の意で、紀元前167年のマカベア戦争に、ユダヤ人が勝利したことを記念した祭です。 当時ユダヤ人はギリシャに支配され、ヘレニズム文化(偶像礼拝)を強要されていました。 しかし、マカベヤ家が起こした反乱により、ユダヤ人たちはギリシャ人をエルサレムから追放しました。
彼らが神殿を清めたとき、神殿内に聖油が1日分しか残っていなかったのに、燭台はこの1日分の聖油で8日間燃え続けたと言われます。この奇跡を記念して8日間の祭を祝うようになりました。
ハヌカは別名「光の祭」とも言われています。毎日燭台に点火するのが主な行事で、ハヌカの祭に使用される燭台は、「ハヌキア」と呼ばれます。 また油にちなんで油で揚げたパン、スフガニヤなどの食べ物を食べます。
ちなみに、この祭は、新約聖書にも「宮きよめの祭」(ヨハネ10:22)として登場します。 この祭はちょうどクリスマスの時期に当たるため「ユダヤ人のクリスマス」との異名もあり、子供たちの楽しい祭です。

プリムの祭

プリムの期間によく食べられる「ハマンの耳」という名のお菓子

旧約聖書エステル記に書かれた物語をもとにしており、ユダヤ人が奇跡的に救われたことを記念する祭です。
ペルシャ帝国の時代、悪大臣ハマンがユダヤ人の絶滅を計画しますが、王妃であったユダヤ人のエステルが、 王にその計画を取りやめるよう直訴し、悪大臣ハマンの謀略は失敗に終わり、ハマンは処刑されました。
祭では、このエステルの知恵と勇気の活躍を描くエステル記がシナゴグで子供たちと一緒に朗読され、 音の出るオモチャを持った子供たちは、悪大臣ハマンの名前が読まれるとハマンの名前が聞こえないように騒ぎたてます。
プリムの祭は、子どもたちが仮装をしたり、街ではパレードをしたりと、大変陽気に楽しみます。
この日には、商店や食堂、銀行など接客業の人々の中には、頭に飾りをつけたり、顔に何かを描いたりして、仮装をする人々もいます。
また「ハマンは呪われよ」と「モルデカイに祝福を」が聞き分けられなくなるまでお酒を飲まなければいけないと言われているため、 超正統派の人々は「律法の行い」として、完全に酔いつぶれています。
また、城壁に囲まれた町では1日遅れて祝う「シュシャン・プリム」という風習がありますが、現代ではこの規定はエルサレムだけに適用されます。

ペサハ(過越の祭)

過ぎ越しの祭りの期間はクラッカーのような種入れぬパンを食べます

エジプトで奴隷だったユダヤ人がモーセに導かれてエジプトを脱出し、自由の民になったことを祝う祭です。
「過越」とは、神がエジプトに災いをもたらしたとき、イスラエル人の家の戸には印がつけられ、災いが「過ぎ越し」たことに由来しています。 この日は家族や親族が集まり、ハガダーという決まった式次第にそって過越の食事(セデル)をして祝います。
四杯の葡萄酒、羊の骨、煉瓦をあらわすハローセスという甘いまぜもの、苦難をあらわす苦菜、和解のささげものを象徴する玉子、 新しい命をあらわすパセリ、イーストを入れないマッツァというクラッカー状のパンなどの象徴的な食べ物が、 祈り、賛美、朗読や由来についての問答などとともに、式次第に従って食されていきます。
またこの1週間はイースト菌が入ったものは一切食べてはいけないことになっているため、商店やレストランではパンやビールは置いていません。
過越の祭は、旧約聖書に巡礼が定められたユダヤ教の三大祭の一つで、この日のために世界中からイスラエルへと多くの人々が集まって来ます。 また、世界各地のユダヤ人がこの祭を祝う場合は、最後に参列者一同が「ラシャナ・ハバー・ビルシャライム」(来年こそはエルサレムで)と唱和することになっています。
イエス・キリストは、この過越の祭の時に十字架につけられ、復活されました。
そのため、キリスト教の復活祭(イースター)は過越の祭に重なるはずなのですが、実際には暦の違いで別の日に祝われます。

ペサハと復活祭のルーツにおける共通点については、バラガン・コラムの記事で詳しく紹介しています。

ヨム・ハアツマウート(独立記念日)

聖書に定められた祭ではありませんが、独立記念日もイスラエルでは重要な祭として祝われます。
超正統派の人々の中には、メシアが来臨しないのに人間の手で建国された現代イスラエル国家は神の意思に反しているとして、 この祭の日には黒旗を揚げる人々もいますが、大多数の宗教的ユダヤ人は現代イスラエル国家は神の預言の成就だと考えています。
ちなみに、イスラエルは独立記念日をユダヤ暦(イヤルの5日)で祝いますが、パレスチナ人たちはイスラエル独立の日をナクバ(破局)として、 (西暦の5月15日)に記念し、様々な抗議行動を行います。
独立記念日の前日はヨム・ハジカロン(戦没者記念日)として記念され、建国以来の多くの戦いで戦死した兵士たちを記念します。 独立記念日や戦没者記念日が、安息日やその翌日になると様々な不都合が起こるため、これらの記念日の日は、年によって様々な調整が加えられます。

シャブオット(七週の祭)

シャブオットはペサハやスコットと並ぶユダヤ教三大祭のひとつで、ペサハの第2日から数えて7週後(50日目)に行われ、「七週の祭」とも呼ばれています。
キリスト教では、「50日目」を意味するギリシャ語から「ペンテコステ」とも呼ばれて、聖霊降臨日として祝われています。ただし、暦の違いで、日は一致していません。
もともと穀物の収穫感謝祭であったことから、ハグ・ハカツィール(刈り入れの祭)や、ハグ・ハビクリーム(初穂の祭)の呼び方もされています。 この日には、乳製品を食べる風習があります。
ユダヤ教ではモーセがシナイ山でトーラー(律法)を授かった日「マタン・トーラー(トーラーの授与)」として祝うようになり、人々は夜を徹してトーラーを学習したり論議したりします。 この日シナゴグでは「ルツ記」が朗読されます。

ティシャ・ベアヴ(神殿崩壊の日)

ティシャ・ベアヴの日に西壁前に集い祈る人々

ソロモンの建てた第一神殿と、ゼルバベルらの再建した第二神殿は、共にユダヤ暦のアヴの月の9日に破壊されました。 それ以来、ユダヤ民族のスペインからの追放など、様々な民族的災難がこの日に起こったのです。
最近では、ガザからの入植地撤退をこの日に決行しようとしたため、正統派の人々が激しく反発し、結局は日程が延期されたこともありました。 この日はイスラエルにおいては休日ではありませんが、敬虔な人々は断食をします。また、西壁前では哀歌などが朗読されます。

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