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イスラエルニュースについて

知っておくと便利な予備知識

政治と宗教のややこしい関係

首相の靖国神社参拝や宗教団体の政治参加などが批判されるなど日本でも政教分離は複雑な問題ではありますが、イスラエルでの政治と宗教の関係性・複雑さはその比ではありません。

その複雑な問題の1番の理由がイスラエルで増え続ける超正統派の存在です。
イスラエル建国時彼らはイェシバ(ユダヤ教学校)で学ぶ超正統派の若者に対する兵役免除や納税の減免を求め、ベングリオン首相も400人に対するこの特別措置を認めました。

大統領と会談する超正統派政党幹部 wikipediaより

その当時超正統派はイスラエルではかなりの少数派でこの400人と言うのは当時のユダヤ人人口のたった0.07%でした。しかし宗教的観点から超正統派は高い出生率で人口を伸ばし続け、68年に政府はこの特別枠を毎年800人ずつ増設する決定をせざるを得なくなりました。2010年現在この制度のもと国民としての諸義務を減免されている超正統派は60000人とユダヤ人人口内の1%を占めるまでになり、その後も増加の一途を辿っています。

そして兵役免除枠の増設を勝ち取った60年代前後から、政界に関しては比較的消極的な姿勢を取ってきた超正統派も自らの利権を守るため多くが投票に出向き始め、その頃から政治に対する影響力をさらに持つようになりました。現在では2つの超正統派の宗教政党(シャス、トーラー・ユダヤ教)があり、8割以上の超正統派の有権者が自身の信奉するラビ(聖職者)が支持する政党に投票するようになりました。

このように強固な組織票と年々増える支持者数という2つですでに選挙戦には強い超正統派ですが、さらなる追い風が彼らには吹いています。イスラエルでは選挙日が平日なため多くの一般有権者が仕事の合間にしか投票に行けず、海外駐在の政府関係者や兵士などの特例を除き期日前投票や在外選挙が認められていないのです。このような点から世俗派層の投票率は自然と低くなり、8割以上の投票率を誇る超正統派の支持する政党が議席数を伸ばすのが一般的な構図となっています。

10万人以上が集まった超正統派の兵役義務へのデモ(2014年3月エルサレム)wikipediaより

超正統派を支持層に持つ政党の発言力が大きくなるもう1つの理由はイスラエルの選挙制度にあります。イスラエルでは全国一区の完全比例代表制が採用されており伝統的に小党分立の強い傾向があります。これまでの総選挙で一党が過半数の61議席を獲得したことは一度も無く、これまでの全てが連立政権です。そして欧米では有名な『ユダヤ人が2人いれば3つの考え/政党ができる』というジョークもあるように、議論好きで自己主張の強いユダヤ人。連立交渉は毎回難航し日本の自公連立のように絶対的安定多数を確保できることは少なく、意見の違いから連立脱退なども毎回のようにあります。そのため連立工作の段階で自然と小政党の発言力も大きくなり、強い組織票・盤石の支持層から選挙に負けない超正統派政党は毎回選挙後に獲得議席数以上の存在感を放ちます。連立交渉の際は兵役・納税等の免除制度の拡大や現状維持やイェシバや超正統派団体への補助金確保などを要求し、(特に右派の)第1党は要求を飲んで彼らと連立を組む事が多いのです。

例えば2013年に行われた総選挙後には超正統派政党抜きでの連立政権が久し振りにでき、超正統派にも兵役などの義務を平等に求める法案が進められていましたが、去年の総選挙後のネタニヤフ政権では超正統派政党が2党揃って連立入りしたため全て廃案となってしまいました。これからも超正統派人口の割合は増えていくことが確実 なためさらに議席数を伸ばした場合超正統派人口に対する社会保障費がさらに膨張し、防衛費ですでに苦しい国家予算がさらに圧迫されていくのは避けられないでしょう。

また超正統派ではありませんが宗教的なユダヤ人は右派政党を、世俗派・無宗教層は中道から左派にかけての政党を支持する傾向が強く、イスラエルの政治は
1.宗教的政党(特に超正統派)⇔世俗的政党
2.右派政党(主に宗教派層)⇔左派政党(主に世俗派層)
という2つの大きな軸で考えると分かりやすいかと思います。



イスラエル:ユダヤ人口内における出生率の違い

2050年にはユダヤ人口の3分の1、イスラエル総人口でも4分の1を超えると予想されています



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