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バラガン・コラム-イスラエルあれこれ 他の記事一覧はこちら

2019年イスラエル10大ニュース 2019.12.26

2019年も年の瀬。今年最後のバラガンコラム・・・。という事で、今回はイスラエル10大ニュースでこの一年を振り返ってみたいと思います。


1.月面着陸まであと一歩! SMALL COUNTRY, BIG DREAMS(2~4月)

globes.co.il より)

世界初、民間主導で月面着陸に挑んだ、イスラエルの探査機「ベレシート」(初め・創世記の意)。2月22日に打ち上げられ、4月4日には月軌道への到達に成功。11日にアメリカ、ソビエト、中国に次ぐ4か国目の月面着陸を目指しましたが、月面から高度150mで通信が途絶。およそ時速500㎞の速度で月面に衝突し、着陸成功はなりませんでした。惜しい…。しかし結果、世界7カ国目の月面に到達した国に!ベレシートが月面付近で撮影した「スモール・カントリー、ビッグ・ドリーム」の文字とイスラエル国旗には国民全体が湧き、勇気と希望をもらいました。


2.トランプ 「ゴラン高原の主権はイスラエルにあり」 (3月25日)

israelhayom.co.il より)

3月21日、トランプ大統領は「ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認める時が来た」とツイート、多くの国がこの主権容認を批判する中、ツイートの4日後にネタニヤフ首相との共同記者会見と大統領令調印式が行われました。「ゴラン高原でのテロ組織の活動(イランやヒズボラなど)から、自己防衛する権利をイスラエルは有している」というのが大統領令の根拠。イスラエルでは歓迎ムードが広がり、ネタニヤフ首相はゴラン高原に「トランプ高原」という入植地を建設する事を決定、早速看板が設置されました。


3.ユーロビジョンin イスラエル (5月14~18日)

timeout.com より)


世界で最も歴史ある国際テレビコンテストの第64回、ユーロビジョン・ソング・コンテストがテル・アビブで開催され、準決勝・決勝に41ヶ国の代表が参加しました。ヨーロッパ中がテレビに釘づけになるほどの人気コンテスト、開催前はイスラエルに対するボイコット(BDS)や開催地問題(エルサレムでの開催の是非)など「すったもんだ」がありましたが、大会は大きな盛り上がりを見せ、観光客がイスラエルに押し寄せました。イスラエルは一部を除き土曜日(安息日)にバスの運行はないのですが、コンテスト開催中の土曜日にはテル・アビブ市の主導で無料バスが運行されました。 先月11月から週末の無料バスがテル・アビブ近郊で定期運行されているのですが、もしかしたらこれもユーロビジョン効果?!かも知れません。


timeout.com より)


4.エチオピア系市民の怒り「大規模デモ」 (7月)

anneinpt.wordpress.com より)

80年代以降イスラエルに帰還しているエチオピア系ユダヤ人は約10万人。しかし、エチオピア系市民の受容は進んでいないのが現状です。これには、肌の色の人種差別と、彼らがエチオピア系独自のユダヤ教(イスラエルにおいて正統なユダヤ教の一つと認められていない)を守っていることに対する宗教差別、という2つの差別があります。過去にも何度か大規模なデモが発生。今年6月末、警官がエチオピア系の少年(18歳)を誤って発砲。少年が死亡すると、イスラエル全土で数万人規模の暴動を伴うデモに発展しました。数十人の逮捕者・負傷者を出した激しいデモは1週間ほどで収束したものの、現在も多くのエチオピア系市民が政府に対して不信感を抱いたままです。


5.イランの核施設を発見(9月9日)

13news.co.ilcourrier.jp より)


イスラエル諜報特務庁(モサド)は今年中旬、イラン中部に核兵器開発施設を発見。ネタニヤフ首相は9月9日に緊急記者会見を開き、その調査結果を発表しました。施設は6月末までは核開発の為に稼働、イランはモサドの発見に気付き7月には施設の取り壊しを行ったようです。首相は国際社会に向けイランに更なる圧力を掛けるよう呼び掛けました。 しかし発表が再選挙の投票日直前ということで、イスラエル国内では選挙戦のパフォーマンスとして機密情報を利用したのでは?との声も上がりました。


6.ナハライムをヨルダンに返還(11月9日)

jpost.comisraelandstuff.com より)

ナハライムはイスラエル北部、ヨルダンとの国境にある地域。94年に両国間で平和条約が結ばれた後、ナハライムはヨルダン領でありながらイスラエルに使用権が認められ、双方が反対しない限りはその契約が25年単位で延長される事が取り決められました。しかし近年ヨルダン国内のムスリム同胞団や議員たちから返還を求める声が上がり、ついに昨年、国王はナハライム返還を要求する事を発表。11月9日にヨルダンへと正式に返還されました。ヨルダンでは歓迎ムード。11日には国王が同地をすぐに訪問し礼拝が行われました。


7.ハマスだんまり、ガザ新局面?!イスラーム聖戦と「黒いベルト作戦」(11月12~14日)

haaretz.co.il より)

11月初めからのイスラーム聖戦(テロ組織)による集中的なロケット弾発射に伴い、イスラエルは同組織の軍部司令官を空爆により殺害。その後48時間にわたり、イスラエルと聖戦間で大規模な交戦状態になりました。2日後に休戦協定が結ばれたものの、その後も数時間はガザからのロケット弾が飛来。その間、ハマスは静観を貫き、攻撃から休戦交渉までイスラーム聖戦が単独で行うなど、ガザが新局面を迎えているのではとイスラエルの有識者たちは指摘しています。今後イラン色が強く、さらに原理主義的なイスラーム聖戦がガザで力を持つ事に対して懸念が広がっています。 (詳しくは過去のバラガンコラムへ)


8.現職の首相を起訴 イスラエルで法を超越する者なし!(11月21日)

newsfounded.com より)

ついにイスラエル司法長官が、収賄・詐欺・背任の罪でネタニヤフ首相の起訴を決定。案件は3つで、実業家やイスラエル大手紙、通信事業最大手のトップたちが関わる事件ばかり。国内では辞職を求める声が高まっています。しかしその一方ネタニヤフ首相の無実を信じる市民も多く、「全てメディア・司法機関を牛耳る左派の陰謀だ」や「司法機関こそ裁判に」との声も。定まらない政権と共にまさにイスラエル社会が二分されている状況が続いています。


9.アラブの街に響く銃声、増える殺人事件

timesofisrael.comisraelnationalnews.com より)

イスラエルには人口の2割にあたる190万人のアラブ系市民が暮らしています。2019年はそのアラブ社会内での殺人事件が激増。昨年2018年は75人、今年12月中旬までで91人と、殺人事件によるアラブ人犠牲者が増加した1年でした。これを受けイスラエル警察は11月にアラブ系自治体と協力し、違法銃器の回収キャンペーンを実施。自主提出した場合は銃刀法違反に問わないとし呼び掛け、集まったのは207丁。内、アラブ系市民からの提出は71丁でした。ちなみにアラブ社会内では違法銃器が計15万丁所持されているとされています。アラブ系市民や議員は事件増加を警察の責任と批判していますが、警察側はアラブ人社会に向け、空に向かって発砲する結婚式での祝砲を止め、教育を行うよう協力を求めています。


10.民主主義の限界?混沌とするイスラエル政界

ynet.co.ilより)

来年3月2日の再・々・選挙実施が決まり、1年で3度目の総選挙を行う事となったイスラエル。1年もの間政権が発足せず(現在は右派による臨時政権)、予算も決まらず、全く国政が進んでいない「カオス状態」が、何と言っても今年1番のニュースです。ネタニヤフ首相は2度の組閣に失敗し、上記(8)のように3つの事件で起訴されるなど危機的状態ですが熱狂的な支持者たちに支えられているため、3月の総選挙も党首として戦う事が予想されます(26日にリクード党首選がありますが大半が現職の勝利を予想)。イスラエルにおける右派と中道・左派人口の比率は変わらず、再々選挙後もほぼ同じ勢力図になる予想なため、国民の間では民主主義に対して悲観的な声も。そんな状況を受けリブリン大統領は自身のSNSアカウントで、「民主主義への信用を失ってはいけない」と国民に異例の呼び掛けを行いました。


中東唯一の民主主義国家という誇りを感じながら、民主主義の機能不全に苦しんだ― これがイスラエルの2019年かも知れません。

「バラガン」とはごちゃごちゃや散らかったという意味のイスラエルで最もポピュラーなスラングです。ここでは現地在住7年のシオンとの架け橋スタッフが、様々な分野での最新イスラエル・トピックをお届けします。



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