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イスラエルニュースについて

知っておくと便利な予備知識

イスラエルの主な政党

イスラエルの政党は、右派⇔左派という対立軸の他に、 世俗⇔宗教という対立軸で考えると理解しやすくなります。 これに加えて、アラブ系市民、移民者など、人種や出身の違いによるグループを代表する政党もあります。

政党別グラフ

現在の議席数 (2015年3月~)

与  党 (計67議席)
リクード 30
クラヌ 10
ユダヤの家 8
シャス 7
トーラー・ユダヤ教 6
イスラエル・我が家 (2016年5月から連立入り) 6
野  党 (計53議席)
シオニスト連合 24
イェシュ・アティド 11
メレツ 5
アラブ統一会派 13

与 党

リクード

イスラエルでも古い右派政党で、現在の党首はベニヤミン・ネタニヤフ。
2009年2月の選挙の後で首相に就任しました。今回の総選挙では劣勢が予想されていましたが、第2党のシオニスト連合に6議席もの差をつけ圧勝し3期目(合計4期目)のネタニヤフ政権がリクードを中心に発足されました。
政策は右派で、和平よりも国の安全保障を重視する立場です。 ヨルダン川西岸やゴラン高原からの撤退や、入植地撤去には反対で、 パレスチナ国家に独立を与えることには慎重な態度をとっています。 しかし、2005年にシャロン首相がガザ撤退を実施したように、リクードは思い切った妥協をするという面もあります。 リクードは右派ですが、世俗主義となっています。

クラヌ

ヘブライ語で「みんな」という意味から「みんなの党」とも呼ばれている新政党。党首のモシェ・カハロン(カロン)はリクードの候補として初当選後、通信相や社会福祉相などを歴任しました。2011年には通信相として格安携帯電話会社の参入を促し、これにより大手キャリアを含む各社が一斉に月額プランの大幅値下げを行いました。この携帯電話の改革は広く国民に知られましたのですが、改革を行ってすぐに政界からの引退を表明します。しかし引退期間中も待望論は根強く、2014年に政界復帰を宣言し自らの新党クラヌを立ち上げました。総選挙では10議席を獲得し連立政権入り、カハロン党首は財相に就任しています。
党の政策が中道政党という事や経済の活性化など、マニフェストはイェシュ・アティードと似通った政党です。

ユダヤの家(ユダヤ人の家)

極右・宗教政党である国家統一党を引き継ぐ形で2008年に結成された、宗教的シオニズムをイデオロギーに持つ右派・宗教政党。低迷期を経て2012年に優秀な軍人でありビジネスマンでもあったナフタリ・ベネットが政界入りすると党首に就任、若いリーダーを迎えたユダヤの家は2013年の前総選挙では前回の4倍にもなる12議席を獲得し、ネタニヤフ政権入りを果たしました。2015年の総選挙では議席数を落とすものの8議席を獲得、再びネタニヤフ首相の連立政権に加わっています。
ベネット党首はまだ穏健派ですが、なかには反非ユダヤ人・反パレスチナのような過激な極右ユダヤ思想を持つ議員も所属しています。

シャス

党首はアリエ・デリ、1982年に結成されたセファラディー系のユダヤ教超正統派政党。シャスの支持者は貧しくて子だくさんのセファラディ(スペイン系ユダヤ人)が多く、 連立政権交渉では、必ずユダヤ神学校(イェシバ)への補助金増額と、児童手当の増額、そして超正統派の兵役免除の継続を要求します。霊的指導者のオバデヤ・ヨセフ師が実質的に党を支配しており、党首や議員に大きな権限はありませんでした。2013年にヨセフ師が死去すると霊的指導者を失った党は、幹部だったエリ・イシャイとデリの間で亀裂が生じ最終的にイシャイ氏がシャスを離党し新党を結成するというお家騒動が起こりました。今回の総選挙では分裂の結果、超正統派の票が割れたため議席数を落としはしましたが連立政権入りしています。
和平に関しては柔軟というよりも無関心に近く、超正統派人口への優遇政策がまず第一で和平問題は二の次三の次です。

トーラー・ユダヤ教(UTJ)

セファラディー系のシャスに対し、トーラー・ユダヤ教はアシュケナジー(東欧)系超正統派2政党からなる統一会派。UTJというのはUnietd Torah Judaism(統一トーラーユダヤ教)の略です。宗教観や超正統派の優遇が最優先という政策もほぼ同じなので、連立交渉や採決など党間合意が必要な時はシャスと結託し超正統派人口への優遇を対価として要求するのが定例化しています。和平に関してもシャスと同じ無関心というのがスタンスです。

イスラエル・我が家

旧ソ連からの移民を基盤にした右派の党で、党首はアヴィグドール・リーバーマン。 政党のなかでも極右とみなされており、パレスチナとの妥協には一切反対する強硬な立場をとっています。「ユダヤの家」の前身である国家統一党と統一会派を組んでいた事もあるように極右に近い政策は類似していますが、宗教的なユダヤの家と比べるとイスラエル・我が家は世俗的極右と言えます。2013年の総選挙前にはリクードとの統一会派「リクード・我が家」を結成し連立入りしましたが、ガザ軍事作戦でのネタニヤフ首相の対応・指揮を弱腰だと批判するなど両者の溝は深まり統一会派は解体されました。
今回の総選挙でネタニヤフ首相が勝利すると右派政党という事もあり連立入りが確実視されていましたが、前政権で両者の関係がかなり悪化した事もあり野党側に残る事となりました。しかし2016年に入るとネタニヤフ首相と同じリクード内の国防相との間の溝が表面化。その溝はその後埋まらず国防相は半ば解任される形で辞任、するとネタニヤフとリーバーマンは連立入りで合意しリーバーマンは国防相に就任しました。 ちなみに党首であり党の創始者でもあるリーバーマンも元リクードです。

野 党

シオニスト連合

パレスチナとの融和・共存を掲げている中道左派の「労働党」とツィッピ・リブニ率いる中道政党「ハトゥヌア(ハツナ)」の2党で結成された統一会派。現在は労働党党首イツハク・ヘルツォグが党代表となっています。世論調査では第1党が確実視されていたのですが、24議席と伸び悩み野党第1党という結果になりました。
労働党は建国から1977年まで30年間政権を担当し、2005年の カディマ結成まではリクードと共に二大政党の1つでしたが、現在では議席を減らしています。イスラエルは伝統的に労働組合が強く、今でもイスラエル最大のヒスタドルート (労働総同盟)がストライキをすると、国が麻痺します。 そのヒスタドルートが労働党の支持基盤です。またイスラエルではほとんどの大学で左派系が圧倒的に強く、労働党は若年層に強い政党でもあります。
ハトゥヌアとはヘブライ語で「運動」という意味で、代表のツィッピ・リブニはもともとは右派リクードで初当選し法相・農相などを歴任し、その後中道政党カディマの党首を務めました。2012年にカディマを離れ、自身の新党を立党。ネタニヤフの前政権では連立入りしていましたが、2015年の総選挙では労働党とシオニスト・ユニオンとタッグを組みました。

イェシュ・アティド(未来がある、有未来)党

人気ニュースキャスターだったヤイル・ラピドが2012年に結成した党。日本のニュースではヘブライ語名を和訳した「未来がある」という党名でも呼ばれています。2013年の総選挙では政界初挑戦にもかかわらず19議席を獲得、リクードに次ぐ第2党となりネタニヤフ政権では財務相を務めました。しかし連立政権ではリクードとの対立を繰り返し、政権発足からわずか1年数ヶ月後の2014年12月にネタニヤフ首相がラピドとリブニ(ハトヌア)両党首を更迭、今回の総選挙が行われる原因となりました。期待していた国民からの失望感もあり、総選挙では前回の約半分近くとなる11にまで議席数を落とし現在は野党になっています。
党の政策は中道で、マニフェストの中心は経済の活性化と中産階級の支援。前政権時は平等な徴兵制度を進め超正統派の大反発にあいました。

メレツ

反宗教の立場をとる、歴史ある世俗的な左派政党。 社会民主主義政党で、ほぼ共産党に近い雰囲気です。戦争反対、入植地即時撤去、領土返還、そしてエルサレム分割などの政策を掲げていますが、軍事作戦を支持する事もあります。社会政策に関してはイスラエルで最もリベラルな党で、フェミニズムや非宗教婚そして性的マイノリティの認知制度などをマニフェストにしています。また現在イスラエルで広まっているベジタリアンやヴィーガン(純菜食主義者)の議員も多い緑の党としても知られています。

アラブ系統一会派

アラブ系政党の全4党、ハダシュ(ハダサ)党、バラード党、、UAL(アラブ統一リスト)、タール党が結成した統一会派。アラブ政党はパレスチナを支持し、イスラエルの存在を否定するような発言を国会でするため、 右派政党が反発し物議をかもしています。


基本用語:世俗(secular)

イスラエルにおいて「世俗」とは、宗教ではないという意味です。 宗教派の人々と、世俗派の人々の違いは、信仰を法律で強制すべきかどうかという点です。
世俗派の考えでは、宗教は個人の内面の問題であり、結婚や日常生活などに宗教が強制的に介入する必要は無いと考えます。 しかし、宗教的なユダヤ人は、安息日、結婚など、様々な面でユダヤ教の律法の遵守は強制すべき事柄だと考えます。

大きな社会問題になっているのは、宗教的にユダヤ人と見なされない人々と、宗教的にユダヤ人とされる人々の結婚です。 こうした人々はイスラエル国内に非常に多数いるのですが、国内の結婚制度はラビの承認が前提であるため結婚できません。 そこで、彼らは外国で結婚式を挙げ、帰国して「既成事実」を登録するという便法で問題を解決しています。

世俗政党は、こうした矛盾を解決すべきだと考えていますが、宗教政党は絶対反対の立場です。
連立政権を構築するためには、宗教政党の参加が必要であるため、少数派の宗教政党の意向が通る形となって、 いつまでも「多くの国民が自国内で結婚できない」という矛盾は解決されません。


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